エロマンガ先生 各話感想

原作未読です。
 
1話
始まったばかりの頃は期待と物語が幕を開ける時の緊張とでなんだか集中してみていたように思う。そのせいかエロマンガ先生と和泉マサムネとの間にある空気を敏感に感じ取ろうとしていた気がする。和泉マサムネとエロマンガ先生の間柄は、義理の兄妹であり家族であり仕事上のパートナーであり恋愛の気配も漂うような、いささか複雑な関係でできている。ふたりの会話を察しようとすると、それぞれがどの関係に重点を置いて発言しているのかによって食い違いが起きたり逆に合点がいったりしているように思えた。そういう微妙なすれ違いが奇妙に心地よくて面白いと感じていた。
 
2話
リア充委員長が大いに活躍する回。リア充委員長の活躍がエロマンガ先生のひきこもりっぷりを対照的に炙り出した。リア充VS非リアのような構図ではあったものの非リア側の妬みや嫉みのジメっとした感じはほぼなく、VSというよりは棲み分けているだけで案外うまくやれるんじゃないかという気持ちになった。
 
3話
山田エルフ登場。彼女もラノベ作家という事で主人公と意気投合するのは早かった。売上バトルや執筆の仕方といった踏み込んだ内容の会話をするうちにすっかり仲良くなっていた。ここでは嫉妬するエロマンガ先生に魅力が高まるのだけれど、ひきこもっているために嫉妬している姿をおおっぴらにできないのか描写は少なめだった。でも抑制が効いていてむしろ威力は上がっていたのかもしれない。
 
6話
Aパートはリア充委員長が縛られるというフェチズム全開でとても緊張感が高まっていてよかった。Bパート山田エルフとのデートが敢行されますが、このシークエンスでの山田エルフの動きや表情いわゆる作画が素晴らしかった。そして千寿ムラマサが登場する。打ち倒すべき敵として主人公に立ちはだかる。たぶんこれは燃える展開。
 
7話
ムラマサ回。打ち倒すべき敵のようだったムラマサはマサムネの小説の大ファンであったということから一気に陥落する。そして対抗的な態度は翻って惜しみない好意へとくるりと様変わりした。ムラマサの好意のメーターは振り切っていて告白にまでいたるのだけれど妹が大本命のマサムネは真摯にお断りする。この展開、ムラマサ先輩のチョロイン的もしくは負けヒロイン的な魅力が圧倒的でとてもとてもよかった。ほとんど一話で恋が始まって終わってしまった。切ない。
 
8話
7話のせいで包帯を巻いたセツナ系ヒロインのムラマサ先輩にすっかり虜となった私は、告白に敗れた次の回にすぐさま復活登場してくれたことにただただ感謝の涙を流していました。
 
9話
山田エルフ先生の疑似プロポーズシーンは拍手を送りたくなるくらいステキラブコメ空間でした。遡ってマサムネと山田エルフの兄が入浴するシーン、ここでの二人の会話を盗み聞きしてしまったことが山田エルフを疑似プロポーズへと焚き付けた主要因かと思うのですが、こういう思いがけず嬉しい発言が聞こえてしまって感情が高ぶるっていう演出すごくいいですね。
 
11話
合宿にひとり参加していなかったエロマンガ先生のターン。ふたりの関係とくにクリエイターとしての関係はそのきっかけから強く結ばれていたことが分かるお話でした。ただしネットを通じてふたりは励まし合っていてエロマンガ先生の方はマサムネに正体を明かしていないので、物語の現在形においてマサムネは記憶の中のあの人がエロマンガ先生だとは知らない。知らないのだけれど実はふたりの関係は過去から今まで繋がっていたということが感動的だった。
 
12話
終盤、はじめて外の世界に接する窓を開けて、外の世界へ手を振る紗霧さんの姿が尊いです。そのことの重大さにマサムネだけがハッと気づいて笑って、物語は「おしまい」です。いい読後感が残りました。

アリスと蔵六 感想 7話まで

~7話まで視聴
 
 序盤のうちこの作品は、どうやら頑固じいさんと超能力少女という異色の組み合わせで日常とバトルを往復するようなバトルものの作品かと思ってみてました。しかし、7話まで見るとどうやらバトルではなくて日常の方に感動のある作品っぽいですねこれは。
 
 この物語世界に超能力があってとんでもないバトルを展開していたのは、日常を特別にみせるためだったのではないかと思いますね。単純に日常と対照的な超能力バトルをみせれば日常がビビッドに映るってことでもあると思うんですが、平穏な日常とは異質な存在である超能力を持ったサナが日常をすごすということが重要なんだと思います。普通に平穏な日常に生まれて普通にそれを過ごす描写よりも、サナのように施設に隔離されていた異質なものが日常を体験していくことの方が目に映る世界が豊かで不思議なものとして感じられるんでしょう。
 
 
彼女はそれまで“外の世界”を知らなかった。
初めて触れるモノ、初めて見る風景、そして初めて出会う人々……。
そんな“世界”の広がりに、戸惑い、驚き、目を見開く。
 
これは公式サイトのイントロダクションから抜粋したことばなんですが、物語の要点はつまりこういうことです。こうした世界体験の素晴らしさが7話には凝縮されていて大変おもしろかった。失った感情をもう一度味あわせてくれたような気がして感動しました。
 

冴えない彼女の育て方♭

~9話まで視聴しました。
 
 
 感想をすごく乱暴にまとめると、この作品は二つのレイヤーに分かれているように思いました。ラブコメのレイヤーとお仕事モノのレイヤーです。この二つのレイヤーが上手く絡み合いながら物語が進行していくところに微妙な緊張感が生まれるのかなあと思うんですが、それに付け加えてヒロインの加藤恵がうまく機能しているんじゃないかなあ、と。主人公の安芸倫也はあくまでお仕事モノのレイヤーを進めるつもりなんですが、うたは先輩やえりりといった魅力的なヒロイン達と関わるにつれてラブコメのレイヤーが強めに介入してきます。それで、ラブコメのレイヤーがあまり強まるとハーレム構造というご都合主義的な関係性が生まれてしまいます。そうしたレイヤー強度の偏りを避けるために加藤恵は主人公に対して割と辛辣な突込みをいれたり、加藤だけは主人公のそばにいながらラブコメのレイヤーを差し挟まずに淡々とお仕事に勤しむことでお仕事モノのレイヤーへとバランス調整しているかのように見えました。なにをいいたいのかというと、ハーレム構造を作り上げつつも、如何にしてそのご都合主義的な展開による呵責を避けて、ハーレムを楽しむのか。というようなことが気になったわけですが、その答えがレイヤー分割と俯瞰してツッコミをいれる役割だったのかなあと思います。
 
 
 で、9話について簡単にいうと、これまでのお話の多くはえりりやうたは先輩という魅力的なヒロインと安芸くんのラブコメ的な駆け引きで盛り上がっていて、加藤恵は鈍感系主人公安芸くんに対するツッコミが主な役割でとりたてて盛り上がりを見せる展開はありませんでした。その加藤が9話において遂に感情をさらけ出して主人公と衝突するので感極まるものがありましたね。なにかこう物語が次の段階に移行したような感じです。
 衝突後のなし崩し正妻イベント…もよかった。いつもの立場が逆転していて、主導権を加藤が握ってしまうくらいに感情を素直に吐き出せたのだと思うと、関係の深まりが感じられて良い展開でした。
 オチもすごくよかったです。安芸くんはあらゆる美少女ゲームをプレイするなかであらゆる美少女の内面や心の機微を見ぬいて判断を下せるのだから、現実のヒロインである加藤の内面もちゃんと見抜いて行動してよっ!たとえ二次元みたいに属性がはっきりしてなくてもっ!というものでしたが、いつもどおり痛いところをツッコむのが上手かったです。