冴えない彼女の育て方♭

~9話まで視聴しました。
 
 
 感想をすごく乱暴にまとめると、この作品は二つのレイヤーに分かれているように思いました。ラブコメのレイヤーとお仕事モノのレイヤーです。この二つのレイヤーが上手く絡み合いながら物語が進行していくところに微妙な緊張感が生まれるのかなあと思うんですが、それに付け加えてヒロインの加藤恵がうまく機能しているんじゃないかなあ、と。主人公の安芸倫也はあくまでお仕事モノのレイヤーを進めるつもりなんですが、うたは先輩やえりりといった魅力的なヒロイン達と関わるにつれてラブコメのレイヤーが強めに介入してきます。それで、ラブコメのレイヤーがあまり強まるとハーレム構造というご都合主義的な関係性が生まれてしまいます。そうしたレイヤー強度の偏りを避けるために加藤恵は主人公に対して割と辛辣な突込みをいれたり、加藤だけは主人公のそばにいながらラブコメのレイヤーを差し挟まずに淡々とお仕事に勤しむことでお仕事モノのレイヤーへとバランス調整しているかのように見えました。なにをいいたいのかというと、ハーレム構造を作り上げつつも、如何にしてそのご都合主義的な展開による呵責を避けて、ハーレムを楽しむのか。というようなことが気になったわけですが、その答えがレイヤー分割と俯瞰してツッコミをいれる役割だったのかなあと思います。
 
 
 で、9話について簡単にいうと、これまでのお話の多くはえりりやうたは先輩という魅力的なヒロインと安芸くんのラブコメ的な駆け引きで盛り上がっていて、加藤恵は鈍感系主人公安芸くんに対するツッコミが主な役割でとりたてて盛り上がりを見せる展開はありませんでした。その加藤が9話において遂に感情をさらけ出して主人公と衝突するので感極まるものがありましたね。なにかこう物語が次の段階に移行したような感じです。
 衝突後のなし崩し正妻イベント…もよかった。いつもの立場が逆転していて、主導権を加藤が握ってしまうくらいに感情を素直に吐き出せたのだと思うと、関係の深まりが感じられて良い展開でした。
 オチもすごくよかったです。安芸くんはあらゆる美少女ゲームをプレイするなかであらゆる美少女の内面や心の機微を見ぬいて判断を下せるのだから、現実のヒロインである加藤の内面もちゃんと見抜いて行動してよっ!たとえ二次元みたいに属性がはっきりしてなくてもっ!というものでしたが、いつもどおり痛いところをツッコむのが上手かったです。